国際結婚をしたと言うと、「もう日本人じゃないの?」「国籍変わったの?」とか「カタカナの苗字に変わったの?」とか時々聞かれることがあります。
外国人と結婚をしても、日本人は生まれた時から死ぬまで変わらず日本人で、国籍も結婚しただけでは変わりません。
そして私たちは正式に結婚の手続きを行った夫婦ですが、夫婦で別の姓を使っています。
今回は夫婦別姓についての基礎知識、そして私たちが夫婦別姓を選んだ3つの理由と実際に夫婦別姓にして思った感想やメリット・デメリットをお話したいと思います!
夫婦別姓にできる条件とは
現在(2020年)日本では、日本国籍を持つ男女が結婚する(籍を入れる)場合は、夫または妻どちらかの苗字に統一することが法律で定められています。
そもそも日本人が結婚した場合に、夫婦がそれぞれ別の苗字のままでいる夫婦別姓にする方法とは??
事実婚
日本の法律による結婚=「籍を入れる(婚姻届を出す)」という形をとらずに、当人同士のが「結婚している」という認識によって成立するかたちです。内縁関係とも言われます。
まだまだ日本では認知度や理解が低い場合も多いようですが、一緒に住んで子供もいるけど書類上は結婚してない っていうカップル、海外だと驚くほど多いです。
ちなみにキューバでもほとんどがこの形で、書類を揃えて結婚する人は比較的少ないです。
(別記事:キューバの結婚事情)
日本で事実婚の形をとった場合、手続きが無いのでもちろん苗字も戸籍もお互いそのままでいられます。
住民票で夫婦(未届)といった形で届けを出せたり、公証役場で事実婚に関する公正証書を作成してもらうことで証明することができますが、法律上では”夫婦”としての法律が適用されない事が多いといったところがデメリットです。
旧姓通称使用
婚姻届を出して籍を入れる法律婚をして、法律上どちらかの苗字が変わったとしても、単純に日常生活で旧姓を使用し続けるというもの。
もちろん状況によっては本名を使う必要がありますし、会社などだと環境によっては厳しいかもしれませんが、周りの理解があれば旧姓を使い続けるのは問題のない方法かと思います。
ファミレスの順番待ちの用紙でもどこでもきちんと律儀にに本名を使いがちな私たち日本人ですが、公的な身分証明と照らし合わせるような本人確認が必要な場面以外だったら、自分が名乗りたい名前を使っても誰かが困ることは無いので、日常生活においては名乗った者勝ちかなと思います。
国際結婚
日本で使われている「戸籍」というのは、日本国民の個人の出生や親族的身分を表すものなので、日本に現在住んでいても基本的には外国人の場合は日本の戸籍はありません。
そのため、日本の法律の「入籍をして夫婦どちらかの姓に統一する」必要がないというわけです。
国際結婚をすると日本人側の戸籍は、元々の家族の戸籍から抜けた後、本人を筆頭者にした新しい戸籍になります。そしてその本人の戸籍に、外国人配偶者は戸籍の代わりに婚姻の情報として記載されます。
なので姓に関しては選択制といった形を取ることができます。
- お互いに苗字は結婚前と同じく変えない
- 一方が姓を変更する
- 一方が姓に変更する+ミドルネームとして旧姓を残す
といった方法などが一般的です。
住む国や文化だったりそれぞれカップルによって状況も様々ですので、それに合わせて決められますね。
実際に私たちが夫婦別姓を選んだ理由
① 自分のアイデンティティーを大事にしたいから
私にとってはこの理由が最終的な決め手となりました。
自分の苗字がすごく好きとか特別これといった強い理由があるわけではないのですが、自分の苗字って、日本人として生まれた自分のルーツであり、家族との繋がりの部分でもある部分。
生まれてから30年近くずっと共にしてきた自分の氏名に、自分の歴史というかアイデンティティーがあるような気持ちにもなります。
そう感じて、私は今までもこれからも同じ名前で生活したいなと思いました。
元々、結婚に憧れも願望もあまり無かったので、「結婚をしても今までとまったく同じ一人の人間として生きていこう」と決めた上での選択でした。
② 苗字が2つ!スペイン語圏の文化も尊重
日本では馴染みがないですがスペイン語圏では、1人の個人に苗字が2つあります。
名 + 名(2つ目) + 父の姓 + 母の姓
これでフルネームとなるので、かなり長いです。
結婚をしても夫婦の姓はそのままで、子供が生まれたらその子は父親の前半の姓と、母親の前半の姓を取ることになります。
家族みんなの苗字が統一されるわけでは無いですが、自分の出生時の両親がいたから自分が成り立っている というような感じがして、個人的にはちょっといいなと感じました。
キューバもスペイン語圏の国なのでこの文化が当たり前のように存在しているため、彼らにとってはこれが当たり前でした。
その為キューバで結婚してキューバに住んでいた私たちにとっては、夫婦別姓で特に困ることは無くお互いに違和感なく受け入れられました。
このように住む拠点の文化に応じて不便がないかという点は、国際結婚カップルの場合は重要な判断基準なのかもしれませんね。
③ わざわざ変える必要がないと感じたから
変えた場合のメリットが個人的には少なかったです。
免許証やパスポートやその他いろんな書類の氏名をいちいち変更するのも面倒だったし、日本で過ごすときにカタカナの苗字だと初対面の人とかにいつも同じような質問をされるんだろうなとか、名乗ったときに「え?」って顔されるんだろうなとか、目立ちたくない状況でも目立つだろうな・・・と、日本では苗字を名乗ることの方が断然多いので、個人的にはちょっと面倒臭さを感じました。
当時、家族とほんの数人の近い友人だけにしか結婚することを伝えていなかったので、結婚したことなど自分の近況をわざわざ必要以上の人に知られてなくてもいい、というのもありました。
もし万が一、離婚したとしても苗字が変わらなければ周りに変な反応をされることないというのも良い点かもしれないですね。
これらは、なるべく必要以上に他人に自分のことについて触れられたくない!と思うコミュ障な私ならではの考えなのかも。
夫婦別姓にしたことによる結婚後の影響
結婚してから複数の国で過ごしてみましたが、今のところ特に問題無く過ごしています。
そもそもの結婚という形にこだわっていなかったので私たちの場合は結婚指輪もしておらず、「夫婦です」と名乗るまでは認識されづらいですが、他人がどう捉えるかは勝手なので何も問題はないですね。
むしろ夫婦別姓って結婚前と全く何も変わらないので、今までよりマイナスになることはまず無いかなと思います!
筆者が個人的に考えた 夫婦別姓のメリット・デメリット
メリット
- 苗字が変わったことでの手続きや煩わしさが無い
- 結婚しても離婚しても変わらない!周りの反応をいちいち気にしなくて済む
- 今までと特に変わらなくいられる
デメリット
- 事実婚の場合だと法的な効力が弱い
- 証明できるものが少ないと社会的な認識が弱い場合もあるかも
- 人によっては子供と親子別姓になる点が気になる人も
おわりに
個人的には、日本人同士の婚姻の場合でも、選択制の夫婦別姓ができるように法の改正が進めばいいなと思います。
また余談ですが、特に日本での同性婚法の成立、または現在のパートナーシップ制度でも同性婚カップルの権利や補償を通常の夫婦と同等のものにしていくべきだとも考えています。
現在の制度を廃止とまでいかずとも、少しずつ法律を見直していくことも時代とともに必要かと思います。
今回は夫婦別姓についての記事を書かせていただきました。
人の氏名というのは生まれてから亡くなった後までも、生涯付き合う大切なものだと思うので、それぞれの状況や家族のかたちに合わせて、当人たちが納得のできる最適な選択ができるような社会になることを願います。