メキシコでヘアドネーションをしてみた

メキシコ

こんにちは、Natyです。

ショートヘアがあまり似合わないと自覚した学生の頃から、人生のほとんどの時間をセミロング~ロングヘアとして生きてきたのですが、20代のとある頃に海外のサイトか何かでヘアドネーション(髪の寄付)という存在を知りました。

ヘアドネーションとはおもに病気や治療などで髪が抜け落ちてしまった人たちや子供たちの為に、かつらを作るための髪を寄付するというものです。


それまでは恥ずかしながら金銭や物資の「寄付」というものをほとんどしたことがなかったのですが、自分にもできる範囲で社会の為・人の為に何か役に立てないかと思い始めた時のことでした。

ヘアドネーションを知り、「お金はあんまり無いけど、髪ならいっぱいある!」とふと思いつき、「どうせ髪を切るんだったら、もっと伸ばしてから切って寄付してみよう」と決めてしばらく伸ばしてみたのがきっかけです。


+30cm!スーパーロングヘア生活

ただ切った髪を送ればいいというわけではなく、髪を寄付するにあたって各団体が提示しているいくつかの条件があるのですが、長さに関しては多くの団体が最低でも30cmくらいの長さが必要であることを記載していました。

ヘアドネーションに向けて、十分な長さを確保すべく伸ばすことになったので、今までの経験以上の髪の長さでの生活を体験することに。


個人的につらかった点を一つ挙げると、「髪を伸ばしすぎると、ある一定の長さを超えてから髪の重みで首が痛くなる」という発見がありました。
私の場合は元々の毛量が尋常じゃなく多いので、これが “ロングヘアあるある” なのかどうかは個人差があるのかもしれませんが。。。

あと、ちゃんとお団子みたいにして結んでおかないと、食事中に醤油取ろうと手を伸ばしたらテーブル上の食器に毛先が浸かったりとか・・・。笑


「あーもう長すぎて面倒くさい、早く切ってしまいたい・・・」と思うこともありましたが、「ここまで頑張ったから最後までやり遂げて寄付するんだ!」という、最後は愛と意地で乗り切ります。
(途中で何度か、痛んだ毛先を切って整えることはありました)

最終的に、へそ下くらいまで伸ばしました。


メキシコの床屋で髪を切る

そして髪の長さと心の準備が整った時、私はメキシコのオアハカ州に滞在していました。

時間には余裕があったので、とりあえず市内のヘアサロンを何軒か回ってヘアドネーションについての情報をリサーチしつつ、店の雰囲気や美容師さんをチェック。
(ここまでの努力を無駄にしたくないので、ちゃんと丁寧な仕事をしてくれそうな人に切ってもらいたいから・・・。笑)

最後にたどり着いた店で「Teletón(テレトン)という施設がもしかしたら受け付けてるから調べてみたら?」という情報を聞いたので、早速調べてみました。


Teletón(テレトン)とは、がんや発達障害、運動障害の子供たちの為のリハビリセンターで、メキシコ国内になんと20拠点以上も施設が存在しています。
(調べてみたら、毎年チャリティーとして24時間テレビ的な放送などもしている有名な機関らしいです。)
ホームページを見ると、資金の寄付以外にも子供たちにかつらを作るための髪の寄付も受け付けているという情報の詳細もちゃんと載っていました。


そして翌日、アドバイスをくれた美容師のおばさんの経営する小さな美容室(というか床屋?)で、ローカルプライス(数百円程度)のヘアカットを依頼。

量が多いので髪全体を2つに分けて、カットする根元あたりをしっかりとゴムで結びます。
毛束がバラバラにならないように三つ編みにして、毛先もゴムで結んで固定。

そして、一思いにザクっといってもらいました。


切った毛束を手にした時の気持ちはまるで、明治時代ちょんまげを切り落とした民のよう。
氣の抜けたような喪失感と、新たな時代の始まりが聞こえてきそうです。


それにしても数年間伸ばしたこの毛束、意外と重い。
こんな重いものを毎日頭から垂らしていたのか・・・と思うと、あの首の痛みも納得。

記念に写真を撮った後はジップロックに入れて大事に持って帰りましたよ。



以下、Before / Afterの写真です。

フォトグラファーの友人が撮影してくれた 無駄に本格的な写真。

          

断髪直後。毛束と共に。


調子に乗って右サイドはバリカンで刈り上げてしまいました!!


切った毛束を持ってTeletónに行ってみる

念のため事前にメールで問い合わせしてみたところ、ヘアドネーションの場合は郵送でアグアスカリエンテス州にあるセンターに送るか、最寄りのTeleton施設に直接持ち込むかという方法があったのですが、せっかくなので良い経験になればと思いオアハカ州にある最寄りの施設に向かってみることにしました。


と言っても、オアハカ・シティの中心部からローカルなバスで揺られること40分。

どんどん街から離れ、自然が多く殺風景になっていき、気づいたら街からずいぶん離れた丘の上にいました。

バスから撮った写真。どう見ても外国人が来るような場所ではない。

本当にこんなところに施設があるのか?というくらい何もない丘をバスで走ると、その先に突如現れた不自然に待ち構えるカラフルな巨大施設。

出典:https://imparcialoaxaca.mx

中に入ると、先ほどまでの砂まみれの荒い山道からは想像もつかないほど綺麗で清潔な施設が広がっていました。

受付の人にヘアドネーションのことを伝え、渡された袋に持参した毛束を入れ、名前と連絡先を書いて完了。あっという間です。


いずれにしてもこの封筒はアグアスカリエンテス州のセンターに郵送されるということなので、ここまでわざわざバスに乗って届けにきたのは単純に私の好奇心です。



すると受付の人に「10分後に施設の案内ツアーをやるのですが参加しますか?」と突然聞かれ、思わず「はい」と答えてしまい、そのままTeletonの施設内を案内してもらうことになりました。

他に誰もいなかったので「私一人のためにわざわざスタッフさんが時間を取って説明してくれてるのもなんだか申し訳ないなぁ」と感じながらも、せっかく案内してくれているのでちゃんとリアクションを取ったり質問しながら真面目に聞いてるアピールをしてみる。

がしかし、私のスペイン語の知識不足によって内容の半分くらいが理解できなくて余計に申し訳なかった。。。
そんな私に対しても親切に対応してくれたスタッフさんは、ボランティアの高校生だそう。週に3日くらいボランティアで来ているということを話していました。

Teletonがどういった施設なのかという説明から始まり、子供たちが利用するプールや、運動施設、リハビリ用の道具だったり、勉強スペースやアートの部屋、中庭や施設の外まで、充実したツアーや活動内容を共有をしていただきました。


小さなことでも、ようやく自分にできることで誰かの為を思って一つ行動できたせいか、この日の帰り道はなんだか心が軽やかで満たされていました。

ただ髪を寄付しに行こうと思っただけなのに、なんだかいろんな経験ができたような気がします。


おわりに

もし、これからヘアドネーションをしてみたいという方は、まずは自分が寄付できる(寄付したい)団体や、その条件などをチェックしてみてください。(必要な最低限の長さなど異なるので!)

以前は日本でヘアドネーションができる団体が無く、アメリカなど海外のNPO団体に送るのというのが主流でしたが、最近は認知度も高まり日本でもヘアドネーションを受け付けているNPO法人もできて、協同サロンや対応してくれるサロンも増えたようです。気軽で身近なものになってきて何よりです。


私個人の感想としては、「ばっさり髪を切って寄付をした後の、清々しく晴れやかな気持ちは何ものにも代えがたいくらい最高だった。」といったところです。

髪もすっきりして軽やかなのですが、それ以上に心が軽やかでポジティブな気持ちになれました。


あれから数年経った現在、刈り上げたサイドを伸ばしながらセルフカットにより毛先ザクザクのセミロングになっている私ですが、またいつか無理のない程度でできたらいいなと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


タイトルとURLをコピーしました